News

ミッション2にて月に輸送するマイクロローバーのQualification Model試験を完了 月面探査ミッションに向けた重要な開発マイルストーンを達成

2024年4月12日

株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)は、当社欧州法人であるispace EUROPE S.A. (以下ispace EU) が、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション2において、RESILIENCEランダー(月着陸船)により月に輸送され、月面探査を行うマイクロローバー(小型月面探査車)のQualification Model(以下QM、認定モデル)を使用した試験を完了し、重要な開発マイルストーンの一つを達成したことをお知らせいたします。

また、今回の試験完了に合わせ、欧州宇宙機関(ESA)Human and Robotic Exploration部門のDirector、Daniel Neuenschwander氏がispace EUオフィスにある組立施設を訪れ、マイクロローバーの開発進捗を視察されました。

 ispace EUのエンジニアがマイクロローバーの環境試験の準備をする様子

ESAのDaniel Neuenschwander氏(左)がispace EUオフィスを視察する様子 (右)ispace EU CEO  Julien-Alexandre Lamamy

ミッション2で行う月面探査に向けた認定モデルの製造と環境試験の完了は、ローバーの設計を検証し、ローバーがロケット打ち上げ時の振動等の負荷に耐え、月面で活動することが出来るかを実証する重要な開発マイルストーンの一つです。2023年11月にマイクロローバーのデザインを発表してから、ispace EUではエンジニアリングモデルの開発が進められ、設計の妥当性を確認した後、認定モデルによる試験が行われました。今回の試験結果を踏まえて、現在はフライトモデルの開発が行われています。フライトモデルの開発と並行して、認定モデルはRESILIENCEランダーのフライトモデルに搭載され、ランダーと統合された状態での環境試験を行う予定です。フライトモデルは開発完了後、2024年の夏頃[i]に日本へ輸送、RESILIENCEランダーへ搭載される予定です。

ミッション2では、マイクロローバーを使用して月のレゴリスを採取し、その所有権を顧客であるNASAに譲渡する、NASAとの月資源商取引プログラムを実施し、アルテミス計画に貢献する予定です。2020年12月にispace EUはNASAとこの取り組みについて契約を締結しています。この取り組みを推進するため、HAKUTO-Rのコーポレートパートナーであり、鉱業とインフラ産業の生産性および持続可能性をリードするEpiroc AB社が開発するスコップをマイクロローバーの後方に搭載しています。月面着陸後、スコップを使用して月のレゴリスを採取し、マイクロローバーに搭載したカメラで採取物の撮影を行う計画です。

マイクロローバーはルクセンブルク宇宙機関が管理し、欧州宇宙機関が実施するLuxIMPULSEプログラム の一環として、ルクセンブルク宇宙機関との共同資金で開発を行っています。

● ESA Director of Human and Robotic Exploration, Daniel Neuenschwanderコメント

「最先端の月面探査用マイクロローバーの開発を、ここ欧州中心の地で目の当たりにできることはルクセンブルクの産業が人類の創意工夫と国際協力の可能性に満ちていることを示していると思います。ESAはこの新たな技術が 欧州の国際的な月探査の取り組みに加えられることを非常に楽しみにしています。」

● ispace EUROPE S.A. CEO Julien-Alexandre Lamamy コメント

「宇宙機の環境試験は、何カ月にも及ぶ綿密な設計作業が究極の環境にさらされる、厳しい試練の場です。ルクセンブルクに世界トップクラスのメンバーが集まり、大きさや能力において非常に特徴的なローバーの設計、製造という素晴らしい役割を果たしました。ルクセンブルクと東京のチームが一つになった強力なシンボルとして、RESILIENCEランダーにマイクロローバーが搭載されることを楽しみにしています。」

● (更新)マイクロローバーのカメラ、スコップの搭載位置について

2023年11月16日のプレスリリースで公開した情報内に、一部更新がございますので、下記の通りご案内をさせていただきます。

<更新箇所>本文第三段落目

(更新前)ローバー前方にはHDカメラが搭載されており、月面上での撮影が可能です。

(更新後)ローバー前方・後方にはHDカメラが搭載されており、月面上での撮影が可能です。

<更新箇所>本文第四段落目

(更新前)更にローバーの前方にはHAKUTO-Rのコーポレートパートナー企業であるEpiroc AB社が開発するスコップを搭載。

(更新後)更にローバーの後方にはHAKUTO-Rのコーポレートパートナー企業であるEpiroc AB社が開発するスコップを搭載。

● 株式会社ispace (https://ispace-inc.com/)について

「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在約300名のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営した。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行う。2022年12月11日には SpaceXのFalcon 9を使用し、同社初となるミッション1のランダーの打ち上げを完了。続く2024年冬[ii]にミッション2の打ち上げを、2026年[iii]にミッション3、2027年に[iv]ミッション6の打ち上げを行う予定。ミッション1の目的は、ランダーの設計および技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証および強化であり、ミッション1マイルストーンの10段階の内Success8まで成功を収めることができ、Success9中においても、着陸シーケンス中のデータも含め月面着陸ミッションを実現する上での貴重なデータやノウハウなどを獲得することに成功。ミッション1で得られたデータやノウハウは、後続するミッション2へフィードバックされる予定。更にミッション3では、より精度を高めた月面輸送サービスの提供によってNASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画。

 

 

[i]   2024年4月時点の想定

[ii]    2024年4月時点の想定

[iii]   2024年4月時点の想定

[iv]   2024年4月時点の想定

PDF
一覧に戻る