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ispace、ミッション1マイルストーンのSuccess7を完了 月着陸船が月重力圏/月周回軌道へ到達

2023年3月21日

株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)は、民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション1において、最初の月周回軌道投入マヌーバによるランダー(月着陸船)の月周回軌道投入を完了し、ランダーとペイロード(顧客の荷物)を月周回軌道に投入する能力を実証いたしました。これにより、ミッション1マイルストーンの第7段階である「Success7」が完了いたしましたことをお知らせいたします。

管制室で運用完了を喜ぶispaceエンジニアの様子

ispaceのエンジニアは東京の日本橋にあるミッションコントロールセンター(管制室)から2023年3月21日10時24分(日本時間)にミッション運用計画に沿って最初の月周回軌道投入マヌーバを開始し、数分間の主推進系の燃焼の後、問題無く完了しました。2022年12月11日の打ち上げ後、複数回の軌道制御マヌーバを含むランダーの運用を約3か月に渡り、概ね計画通り遂行した上で、ランダーを月周回軌道へ投入させるためにこれまでと比較してより長時間継続したマヌーバを実行できたことは、ランダーが設計通り機能することの証明だけでなく、ispaceエンジニアが長時間の宇宙空間での運用を安定的に遂行する能力を有していることを示していると言えます。

また、今回ランダーを予定通り月周回軌道に投入することが出来たことにより、ispaceが、ペイロードを月周回軌道へ輸送するための技術能力と運用能力を備えたサービス・プロバイダーであることが実証されたと言えると考えており、ispaceの事業モデルであるペイロード輸送サービス構築に向けた、重要なマイルストーンを達成したと捉えています。

現在、ispaceは多くのグローバルな顧客との間で、将来の月面ミッションに関する検討を精力的に続けていますが、その中には、月面着陸ばかりでなく、月周回軌道への輸送の需要も多く確認されています。また後続するミッション3では、地球と月の裏側の着陸地点との通信を確立するため、2機の中継衛星を月周回軌道に投入する予定であり、今回のミッション1で得た貴重なデータやノウハウはミッション3にもフィードバックされ、その技術的信頼度を高めることに活用されることが期待されています。

次のミッション1マイルストーンとなるSuccess8については、月周回軌道上での、着陸シーケンスの前に計画されている全ての軌道制御マヌーバの完了を確認した後、2023年4月下旬頃にお知らせすることを予定しています。その後、2023年4月下旬頃に、Success9となる月着陸が行われる予定です。

ミッション1の運用に関してはispaceのSNSアカウントからも随時最新情報を紹介しておりますので、是非継続してフォロー下さい。

●  Twitterアカウント

 ・ ispace Twitter(英語):@ispace_inc (https://twitter.com/ispace_inc)

 ・ HAKUTO-R Twitter(日本語): @ispace_HAKUTO_R (https://twitter.com/ispace_HAKUTO_R)

■  10段階のミッション1マイルストーンについて

ミッション1では、打ち上げから着陸までの間に10段階のマイルストーンを設定しており、それぞれに設けたサクセスクライテリアを達成することを目指します。ミッションの途中で何らかの課題が発生した場合にも、その時点までに得たデータやノウハウなどの成果を正確に把握した上で、2025年までに後続するミッション2、アルテミス計画に貢献するミッション3へとフィードバックし、技術と事業モデルの信頼度及び成熟度を商業化に足る水準にまで高めることを計画しています。各マイルストーン達成の進捗状況等は適時に公開を予定しております。

■  ミッション1マイルストーン詳細

■  株式会社ispace (https://ispace-inc.com/)について

「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在200名以上のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営していました。2022年7月時点で総計約268億円超の資金を調達。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行っています。

SpaceXのFalcon 9を使用し、2022年12月11日にミッション1のランダーの打ち上げを完了し、2024年[i]にミッション2の打ち上げを行う予定です。ミッション1の目的は、ランダーの設計及び技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証及び強化です。ミッション1で得られたデータやノウハウは、後続するミッション2へフィードバックされます。更にミッション3では、より精度を高めた月面輸送サービスの提供によってNASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画です。

ispace technologies U.S., inc. は、2025年[ii]に月の裏側に着陸予定のNASAのCLPS(Commercial Lunar Payload Services)プログラムに選出されたドレイパー研究所のチームの一員です。ispaceとispace EUROPE S.A. (ispace Europe) は2020年12月に、NASAから月面で採取した月のレゴリスの販売に関する商取引プログラムの契約を獲得しました。ispace EuropeはESAのPROSPECT(月面での水の抽出を目的としたプログラム)の科学チームの一員に選ばれています。

■  HAKUTO-R (https://ispace-inc.com/jpn/m1)について

HAKUTO-Rは、ispaceが行う民間月面探査プログラムです。独自のランダー(月着陸船)とローバー(月面探査車)を開発して、月面着陸と月面探査の2回のミッションを行う予定です。SpaceXのFalcon 9を使用し、2022年にミッション1(月面着陸ミッション)のランダーの打ち上げを完了し、2024年[iii]にミッション2(月面探査ミッション)の打ち上げを行う予定です。

HAKUTO-Rのコーポレートパートナーには、日本航空株式会社、三井住友海上火災保険株式会社、日本特殊陶業株式会社、シチズン時計株式会社、スズキ株式会社、住友商事株式会社、高砂熱学工業株式会社、株式会社三井住友銀行、SMBC日興証券株式会社、Sky株式会社が参加しています。

[i]    2023年3月時点の想定

[ii]   2023年3月時点の想定

[iii]   2023年3月時点の想定

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